限界集落で 2 年間リモートワークをしていたプログラマが 4 ヶ月間東京で働いてみて感じたこと

個人的な記録なので、誰かが読むにはコンテキストが不明な部分も多いと思いますが振り返りとして。

東京で 4 ヶ月

なんということはなく、妻が埼玉で里帰り出産をすることになったので、本社がある東京に埼玉から通うことにさせてもらった感じです。この手の勤務地変更は会社でも初めてだったと思うのだけど、地方勤務者が本社に勤務地変更するということで受け入れてくれて助かりました。

リモートワーカーとしての私

リモートワーカーとして皆さんが浮かべるイメージは在宅で自由な時間でという感じだと思いますが、私の場合はリモートワーカーと呼ばれてるものの、実際は他にも勤務者が居る地方(と言っても山奥)のオフィスで東京と同じ勤務時間働いているので、どちらかというと支社とかで働いている人に近いと思います。

たぶん、場所が超山奥で開発・営業拠点的な意味は全く無い場所なので、リモートワーカーぽく扱われているのかも。

一方で、所属するチームとしては開発 8 名いる中では唯一本社に出社しない人間なので、そういう意味ではチーム内では「リモートの dany さん」として扱われています。

場所は徳島県名西郡神山町という山村で、世間では限界集落という扱いを受けたりします。

今回の 4 ヶ月とこれまでの違い

これまでも数日から一週間ぐらいは出張扱いで東京本社に滞在する事はありましたが、今回は期間が長かったのでデスクも定位置が確保されました。

また、私はリモートになる前は 5 年程東京で働いていたので、2 年ぶりに東京で通勤生活を送るという点でも異なっていました。

ちなみに通勤は北上尾という駅から表参道なので、行きで 1 時間半ぐらい。帰りは乗換が上手くいかないと 2 時間程度かかる感じでした。(駅からも自転車で少しかかる)

4 ヶ月本社勤務してみて

コミュニケーション

2 年間リモートをやってみて、コミュニケーションの難はやはりあって、「みんながリモートワーク体験してくれないと解決しないよなぁ」と思っていたり、色々と課題に感じていることはありました。

ただ、実際東京に居て感じたことは

  • ミーティングは大人数でやったりすると、東京居ても聞こえなかったりする
    • 特にオフィスあまり広くないので、他の部署の声が入ったりするし、資料は逆にローカルで見てるリモートの方が見やすい事すらある
  • 同じオフィスに居ても、人数が多いから「いろんな情報が耳に入ってそれが役に立ったり」というのは意外に起きない。もちろん起きることもある。座席の位置にもよる。
  • さらに人が多いと基本騒がしいので、仕方なくイヤホンしたりすると、結局耳から入る情報はリモートと何ら変わらない
  • 口頭での情報共有がとても多い。人によるけど、あまり記録に残らなかったり。
  • 依頼系が社内 SNS の Yammer で行われているが、通知が溢れている上に、見る頻度も人それぞれな上に、頼む側も「頼んだら後はボールは相手が持ってる」みたいな意識になって地味にスルーされてるとか起こったりする。で、結局口頭でフォローとか発生する。
  • 仕様確認とかも、フラッと企画系の人に聞きに行ったりとかが普通で、かつそれが残らないことも多々あったりする。
  • そういうのもあって、特に非開発系の人とのやり取りは東京に居てめちゃめちゃ捗った。

この辺は昨年 神山.rb やった時に、「リモートワークの問題というより、その組織の問題」という話しをしたことがそのままだなと思ったり。

一方で、日頃 Slack とかに発言しない人とかの雑談とかは結構できて楽しかったり、何かもやっとする事があってもランチとか、帰りに軽く一杯とかでさらっと話せて良かったり、やっぱりミーティングとかでの質問のし安さは全然違ったり。

何より、リモートになってから増えたメンバーも半分ぐらいいるので、初めて同じ場所で長時間作業できたことで、リモートに戻ってからもコミュニケーションしやすいなと感じる部分はあったりした。

この辺りは

  • 特に用は無くても出張もうちょっと増やして、「会話しやすい」ぐらいの感触づくりは必要なのかなと
  • Yammer 自体が業務ツールとして合ってるかってのもあるけど、Qiita::Team とかも併用してる割に「結局聞いたほうが早い」ってなってしまうのはもったいない

とか思ったりした。

フォローぽくなってしまうけど、基本的にはコミュニケーションも適度に活発ないいチームなので、そういう所で情報のすれ違いや、手間がかかってしまうのは惜しいなぁというところで何か改善策を考えていきたい。

通勤

辛い。ホント辛かった。。山に戻って、とりあえずマスク無しで生活できるだけでもありがたいと思ってしまった。後、ちゃんと 寝れるの幸せ。 と、ネガキャンみたくなってしまうけどいいこともあった。

  • やっぱり電車は本がたくさん読める
    • iPad mini もこれを機に買ったのだけど、電子書籍読むの楽だし、SIM も挿したので Github とかのコードも電車内で読めるのはコードリーディング捗って良かった。家だとあんまりやらないから。。
  • 混雑を避けて早めに通勤するおかげで、出社まで1時間ぐらい勉強時間を毎日作れた
    • 後半はカフェが風邪菌の温床なのではと辛くなったが、毎日 1 時間で自分のプロダクトとか作れて楽しかった。
  • いい意味悪い意味での業務時間のタイムリミットを設けやすくなるのでダラダラしにくい
    • リモートしてると、オフィスに居るとはいえ仕事を切りにくいのだけど、「19 時に出ても帰ったら 21 時すぎる><」という絶望感が早く仕事を終わらせるモチベーションになった。

最後に関しては、年末がプロジェクトが軽く炎上していたのもあって、みんなが遅くまで残っていたりしたのでつられて遅くなったりしてたのだけど、キレイに 1 月にそのツケが体調に回ってきて身体壊した。。22 時とかに会社出ると 24 時超えて、翌日 6 時起床だから睡眠が 4 時間ぐらいになって辛い。。

おかげで、結構早起きの習慣ができたのでリモート戻ってもなんだかんだで目が覚めていい感じである。

その他

勉強会とか行けるかなぁと妄想したりもしたのだけれど、圧倒的通勤時間と、「嫁の実家在住」というマスオ状態により「早く帰れる日はご迷惑をかけないように早く帰る!」を原則として、参加は基本諦めた。

ただ、(体調崩して代役立てたのだけど)他社の訪問イベントとかを組めたり、意味も無く社内ラジオを 2 回ぐらい収録したりと、「東京いるからできた」っぽいことも多少できて良かった。

一方で、なんかプライベートなイベントを三回ぐらい体調不良でぶっ潰してしまって絶望もした。。(他社訪問イベントもその一つ。。)

徳島に戻ってきて

改めて生産性という点

よくリモートワークは「コミュニケーションコストがかかる」「集中しやすい」と大きなメリット・デメリットが語られる事が多いと思います。

ただ改めて思ったのは、以下のようなこと

  • コミュニケーションコストで言えば
    • 「話しかける」というストレスコストは東京の方が圧倒的に少ない
    • 「話しかけられる」というインタラプトコストは東京の方が圧倒的に多い
    • 「話す内容」はよほど皆が言い合いになるような議論でもない限り変わらない。ファシリテート大事。
    • ぶっちゃけどうでもいい雑談はめちゃ増えるので、仕事時間どんどん削られる(これは人によるか。。すみません。。)
  • 集中しやすいで言えば
    • 結局チャットでしょっちゅうインタラプトされるので、リモートだからといって集中してるワケじゃない
    • 東京でも開発島から離れて、どっか適当な机とかでやってれば全然集中できる。休憩室に一日中いたらすごい捗った。
    • ただ、「集中するぞ」って切り替えやすいのは、確かにリモート。やっぱり人が周りにいると、声でかい人の声はイヤホン突き抜けるし、人の動きもなんだかんだで気になる。

つまり、生産性なんてほとんど変わらないってことですかね。結局作業の振られ方とかで全然変わったりする。

後述するように Remotty で appear.in の使い勝手があがったせいか、「話しかける」コストも下がってきて、なんかリモートの同僚からは「なんでこっち居るのにずっとしゃべってんの?」と言われてしまった。。

Remotty を活用するようになった

神山.rb でソニックガーデンの人にお世話になった絡みで Remotty を紹介してもらい、東京に来る前も少し使っていたのだけれど、東京に来てからはすっかり誰も使わなくなっていた。(まあ、私が東京居たからですが)

で、また私がリモートになったことで、チームのメンバーの一人の声掛けもあり改めて Remotty を使うようになった。

今のところは、そんなに雑談も行われず、業務の進捗ぶつぶつ呟いてるのは私と数人ぐらいなのだが、とりあえずみんなログインしてくれて、なんとなくみんなの顔が見れるという感じ。

少なくとも今一緒にフォーメーションを組んでる 2 人とはコミュニケーションは Remotty 上で成立している。

appear.in 連携が思ったより良い

appear.in はなんか以前の記憶で イマイチ の烙印を押していたのだけど、改めて使ってみたら数人でやってても会話もビデオも問題無いし、画面共有も1, 2時間やってもそれ程ストレス感じ無い。ペアプロ十分できる感じ。

Remotty からは appear.in のリンク呼び出しがワンクリックでできるので、私を呼び出したい時や、朝会夕会等も、Remotty でランダムな appear.in のルーム作ってそこに入る感じにしている。ハングアウトだと、なんか決まったリンクをブクマしておいて、それを探してーみたいな事をしていたのをしなくて楽。Skype の方が確かに音質とか画面共有は安定するんだろうけど、コールしたりする手間が無くてとにかく楽。

Slack との使い分け

これはよく言われそうだけど、あんまり気にしてない。各種通知系やらは Slack に集中してるのでなんだかんだで Slack はずっと立ち上げてる。Slack で雑談する人も居るし、なんだかんだで Slack は触ってて気持ちいいので、そっちで済ませることもある。(appear.in 連携も Slack にもありますしね)

Remotty はそもそもコンセプトが全然違うので、 Remotty にいる時は「自席」に居る感じ。てことで、結局一つのディスプレイで Slack と Remotty 両方開けてる感じ。

ちなみに、別部署は Sqwiggle を試した後 Slack に個人用のルームを作るというプラクティスを実践している。そっちのチームはそれで結構いい感じだとか。

そのチームは、顔を撮影されるのがダメだったらしい。慣れるといえば慣れるが。。人によりますなぁ。

議事録大事

これは東京居る時からメンバー数人やっていたことで、ソニックガーデンの伊藤さんから学んだプラクティスなのですが、ミーティング中もとにかくガリガリ議事録とる。しゃべりながらもとり続ける。

Google Docs でもいいし、画面共有して Atom とかでとってもいいし、Remotty とか Slack に編集無しでどんどん投稿でもいいと思う。慣れてくるとソニックガーデンさんみたいに整理しつつ、構造化しつつとっていけるんだろうけど、今のところはとにかくログ残すぐらいのノリでどんどん書いてる。

例えば、数分だだだっと話した後でも、「じゃあ一旦整理して」で書くのも、考えがまとまったり、間違え発見できたりして良かったりする。

ただ、こういうのを Qiita::Team にどかっと貼ったりすると、後で見て訳分からなくなったりするので注意が必要だったりするが、これは今のところ「時間かけて整理する」 or 「諦める」しか無いのが辛い。。しかも Qiita::Team は記事単位でアーカイブ機能無いので、よく分からないまま dump した記事がずっと残ったりして苦しくなってきたりする。

(全然関係ないけど、Remotty に共同編集ドキュメントのランダムリンクをパッと出す機能とかあったら嬉しい。でもさすがにドキュメントでログイン無しのは無いか。)

個人的な発見

ここからはすごく個人的なことです。(で、急に文体が変わります。。)

自分はどうして神山町にいるのか?

久しぶりに長期間東京に来るというのは、逆を言えば長期間山村を離れるということでもあります。

その前に神山町ってどんな場所?

私が通勤・在住している神山町という土地は、地方創生みたいな文脈だと結構有名な場所です。その前は「サテライトオフィス誘致」みたいな文脈で話題になっていて、私が移住してきたのは、ちょうどその節目みたいな時期でした。(移住後半年から一年ぐらいして、小泉進次郎さんが視察に来たり、いろいろ国の偉い人がオフィスにもたくさん来ました)

それもあって、神山町という土地には移住者がたくさん居ます。その中にでも「地方を盛り上げたい」とか、「元気のある地方で起業したい」とか、はたまた個人でも仕事を取ってこれるいろんなクリエイティブな分野の人が結構居たりします。(割合までは分からないですが。)
起業にもいろいろあって、飲食店もあれば、オーガニックフードの栽培とか様々ですね。

また、移住にも制限をして、基本「誰でもいいから来て欲しい」という地方とは異なり、町側(厳密には NPO ですが)が来る人を選ぶという特殊なスタイルを取っていて、それもあり「老後を田舎で過ごしたいお年寄り」ばかりが移住するのではなく若い人が集まる町になっています。それもあり、移住希望リストはだいぶ行列になっているそうです。。

とにかく、ある角度から見ると「地方創生のモデルケース」みたくいわれる場所なのです。

私はどうして神山に来たのか

怒られるかもしれませんが、特に理由なんかありません。ただ、「会社からオファーされたから」というそれだけなんですね。地元は徳島ですが、神山町には縁もゆかりもありませんので、どちらかというと J ターンと呼ばれる部類です。
神山町は会社の合宿所があった関係で何度か来ていたので気に入ってはいましたが、「町を盛り上げたい!」とかはたまた起業したいとか考えてなかったですし、ましてや個人で仕事を取れるような人間でもありません。

あえて言うならば、会社からオファーがあったのも、私が「地方移住」を望んでいる意思を伝えたからですが、それも「そろそろ子供が欲しいけど、東京で育てるのは個人的に避けたい」というぐらいで、正直「地方都市」ぐらいに移住できれば十分でした。 (もちろん、元々地方出身で東京生活や通勤地獄に疲れていたという私自身の理由もありました。)

つまり、私は「神山町」という土地を選んで入ってきた人間ではないのです。

そんな中で・・・

個人の意思とは裏腹に、所属する会社が神山ではプレゼンスがあるので、私は「移住者」というラベルで取材を受ける事が多くなりました。
初めての田舎暮らしで「野菜作るぞ!」とか、「自転車通勤するぞ!」とか意気込んでいたこともあり、割りと取材受けは良かったのかなと思ったりします。

ただ、次第に感じてきたのは他の移住者との意識や活動のギャップでした。

当然ながら、高い志や、「神山町が好きで移住してきました!」という人は、町に対する活動や、日々の生活、発言も全く違います。本業を持っていても、その傍らに課外活動(薪割りとかならまだしも、イノシシ狩りとか家作りとか、シアター作りとかとにかくなんかすごい)をしていたり、何か特殊な技能を持っていたりと、「こういう人が地方を元気にするんだぁ!」と目で見て分かるような人が居たりします。それも結構。

加えて、割りとカジュアルに「起業してます」みたいな人ばかりが周りにいて、「サラリーマンのみ」って人がほとんど居ない。。後、なんかやたらとみんな英語しゃべれる。

ちょうど最近みた記事だと以下みたいなイメージですかね。 yulily100.hatenablog.jp

子育て一つに目を向けても、生まれたらたくさん予防接種受けさせて〜、保育園・幼稚園・義務教育〜とか何も考えずに進ませそうな事すらも違うことをやろうとしたりする。いや、ホントすごい考えてるんですよね、それに意見を出す事すら僕にはかなわない。。

ちょうど働きマンの 3 巻読んでてて印象的なシーンがあったんですよね。

全部彼氏のセリフです。

「やれてないことがつらくなるよ、ヒロのせいじゃないってわかってても」
「俺はそこまでできないんだよ、ヒロ見てるとできない自分がダメに見えてしかたないんだ」

なんか、ホントそんな気持ちになる時があったんですよね。「なんで僕は毎日会社行ってそれだけで一日終わってるんだろう。」「どうして休日に、何か新しいことができないんだろう。」

そんなの気にしなくていいってのは頭では分かってるんですが、そんな人達に囲まれて暮らしていると、どうしてもそういう思考から抜け出せなくなってしまうんですよね。

東京で過ごしてみて

正直に言うと、すごく楽でした。だって、周りにいる人、みんな毎日会社きて、夜中まで仕事して帰ってるんだもん。
もちろん副業で起業してる人なんか居ないし、イノシシ狩りしてる人も居ない。時間があれば飲みに行って笑う。アホらしくも、ちょっと安心してしまった自分がいたんですよね。

一方で、すごい遅くまで仕事しててもすごい勉強してる人も居て、それはそれですごいなと感じたり。それはすごく焦りました。

そうやって、改めて客観的に「神山での生活」というのを見ることができたおかげで、「あれ?僕って(神山抜きにして)何がしたかったんだっけ?」と改めて考えるきっかけができました。

改めて

確かに神山という土地に流れ着いたのは偶然なんですが、それでも僕は何かしたかったから、何かを感じたから最終的に選んだんですよね。

それは「家族が健康であり続けたい」ってことかなと思いました。東京での通勤生活でホント僕は身体弱くなってしまったなぁと、それを少しずつ強くしていきたい。そして何より、新しく家族の一員になった娘に、健康な身体作りだけは貢献してあげたい。(他は貢献できないかもだけど)
だから、改めて思い返すと、「地方より田舎がいい」「田舎だったら野菜も作りたい」っていうのは、たまたま実現できたけど、望んでいたことだったのではないかなと。
ただ、別に僕は「オーガニックフードを作ってなんたら」とかはどうでも良くて、自分たちが安心して食べられる食材の一部を自分で作れればいいぐらいにしか思っていないのだなと。だから気楽に作ればいいのだ。

(もちろん、エンジニアとしては、野菜作りにも IT を。。今年こそはほこり被ってる Arduino を投入するぞ。)

後はたぶん神山に来る前は考えてなかったんですが、考えてること。

一つは「リモートワークは誰でもできるって状態にしたい」っていうことでしょうか。神山.rb のスライド見直してて、改めて自分がなんでリモートワークの事伝えたいのかってのを自分で書いてて、それは「僕みたいな何の特徴も無い平凡なエンジニアでもリモートワークできるんだから、きっと誰でもできる」ってのを伝えたいってことだったんだと思います。
もちろん、向き合う課題は組織・個人にたくさんあるけれど、少なくともそれはスーパーエンジニアである必要も無ければ、クールなスタートアップである必要もなくて、平凡なエンジニアと中小企業でも実現できるんだよってのを示したいのだと思います。 (ただ、ちょっとそれは伝えられない状況になるかもしれないけど。。)

二つ目は、「楽しく暮らしたい」なのかな。抽象的だけど。
ポートランドに旅行に行ったのは今でも良い思い出で、ちょっと都会な部分もあるけど地方都市丸出しで、でも食事と酒だけはめちゃこだわってて、だけど適度に大人な街で、みんなが街を大好きで、そんな雰囲気が最高に良かった。
神山はそれに比べると、まだまだ静かすぎる街で、飲みに行く場所もほとんど無ければ、移住者と地元民のギャップも結構あって、まだ良くわからない場所。でも、近所の人は本当に優しくて、おしゃべり好きで、野菜やお菓子をくれて、僕らもお土産をよく買っていって、安心できる場所。
牟岐町で出会った切り絵職人のおじさんが作った「脚下照顧」という作品があるんだけど、そのおじさんなりの解釈がとても印象に残っていて、「世界を変えるとか、地方を元気にする」とかいろいろ大きい事を言う人はいるけど、まずは地元の文化や歴史、自然、そして家族や近所の人に目を向けていくのが大事みたいな感じで、なんか自分がモヤモヤと抱えていたものを言い表してくれた気がした。
僕は、そんなに社交的な人間じゃないけれど、自分の近くに居る人と楽しく過ごしたいんだと思う。そしてそういう場所に住みたい。(ちなみに、Strength Finder は親密性があります)

これからは

「たまたま流れ着いた場所」みたく神山町のことを書いたけど、最後に書いたように僕はこの町をとても気に入っています。子供が生まれた時、埼玉の実家でホントにお世話になって、妻も一人っ子なので、「このまま関東の方で暮らす方がいいのでは?」と妻と真剣に悩んだこともありました。
もちろん、仕事のこともありますし、ご両親の健康状態がどうなるかなんて分からないので確かな事は言えないけれど、二人の結論としては「(期間は分からないけど)もう少し神山で暮らしたい」でした。

ただ、もし希望が叶うなら、次は場所を選ばないフルリモート可能な会社に移って、神山でも埼玉でも、ライフイベントや子供の成長・親の希望を少しでも叶えられるような選択肢を取りやすくなればいいなと思ったりします。

余談

東京通勤生活中に以下の 2 冊も読んだのですが、とてもおもしろかったです。

www.amazon.co.jp

WordPress.com を運営する Automattic 社の話しなのですが、全員リモートワーカーでフラットな組織だった会社に、大企業からチーム作りをするために入った人の内部からの視点で書かれています。

Automattic の会社の年中行事や出張の仕方、社長の関わり方がホント面白くて、すごく憧れました。
それとは別に、リモートでチームを作っていく時の難しさや大事にすべきこと、Automattic ならではの文化を使った解決方法など、いろいろと参考にする内容もありました。

ちょうど Github がリモートワークをやめだしたら社員が辞めてってるみたいな話しが出てますが、Automattic はどう考えてるんでしょうか。

個人的に(PHP 製というだけで) WordPress 全く興味無かったんですが、会社だけじゃなくてプロダクトにも興味が湧きました。

www.amazon.co.jp

こちらはソニックガーデンの倉貫社長の書籍ですね。読みやすいのもあるのですが、面白くて一日の電車の行き帰りだけで読みきってしまいました。
それでなくてもソニックガーデンさんはたくさん情報発信しているので、どこかで読んだ話しだなというのもたくさんありましたが、ミーテイングのラジオ参加など、知らなかった事もありさっそく試してみたり。
ただ、なにより言えるのは、社長自身がリモートワークというものにここまで真剣に向き合えるものなのかという点でした。

「会社がリモートワークをするメリットは何?」というのは定番の質問だと思いますが、私は「無い」と答えることにしています。「採用」という点を考慮したとしても、「会社」がリモートワークを許可するメリットは基本的には無いのだろうと思っています。
一方で、リモートワークはその人の生き方に関わる事なので、個人のメリットはとても多いです。弊社もそうですが、そういう個人の事情にフォーカスして許可をするのがリモートワークだと、私はずっと思っていましたし、それでいいのではとも思っていました。

ただ、違うんですよね、リモートワークに本気の会社は。ここまで真剣に向き合えるなら上手くいくし、その結果 Remotty みたいな製品が出てくるっていうのもすごく理解できるなぁと。
(大企業を除けば)創業者の色が出るのが会社だという点でも、どんな会社でも同じようにできるとは思いませんが、すごくワクワクする内容でした。

訂正箇所

Automattic 社の運営しているのは WordPress 自体ではなく WordPress.com でした。 すぴかあやか さん、ご指摘ありがとうございます><