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神山生活四年目

神山町「まちを将来世代につなぐプロジェクト」タウンフォーラムにいってきた

www.town.kamiyama.lg.jp

私が住んでいる神山町で昨年から策定していた地方創生戦略に関して、大きめの共有会があるということで参加してきました。

「子供が泣くと迷惑になるし無理かなぁ」と思っていたのですが、さすが子育ても重要と認識してくださっているだけあり、子連れ専用ルームという部屋が用意され、株式会社えんがわさんが 4K 映像(たぶん)で同時中継してくれるという環境を用意してくれており、「なら行こう!」ということで眠そうな娘も連れて行ってきました。(スライドや講演者が映る画面の下の方に、参加者の頭が映っていたのですが、それがあまりにリアルで 4K すげぇと謎の盛り上がりがありました。)

50畳以上ある子連れルームは 10 人ぐらいの小さい子供が走り回っていましたが、そんな中でも爆睡をキメる娘になにか安心感を感じる夜でもありました。

神山町での地方創生戦略策定ってどんなだっけ

「地方創生戦略」で Google 検索すると「まち・ひと・しごと創生総合戦略」等のキーワードでいろんな自治体のページが見つかります。

「まち・ひと・しごと創生総合戦略」は 2020 年までの 5 ヵ年計画がなどいろいろ情報が出てきますが、交付金による支援の募集がいろんな自治体での策定の発端なのですかね。

神山町でも昨年からワーキンググループが組織され、住民も参加できるパブリックミーティングの場も何度か提供されました。私も参加できるものは参加していたのですが、昨年秋から東京に行っていたので最終的にどういう案でまとまったのかは分かっていませんでした。(資料は出ていましたが)

地方創生加速化交付金の交付対象事業の決定について - まち・ひと・しごと創生本部

上記の PDF(すごいページ数ですが)を見ると、神山町でも以下の 2 つが採用されているようですね。たぶんこれがまず策定の結果の一つなのかな?

  • 地域の農を食す「フードハブ」の創出による地域内経済循環事業
  • 官民協働「神山つなぐ公社」によるまちづくり推進事業

神山町の創世戦略は以下で公開されています。

www.town.kamiyama.lg.jp

こちらで配布されている PDF もかなりのボリュームですが、上記で採択された2つ以外にも多くの施策が提案されています。

今回のタウンミーティング

上記で紹介した創世戦略の説明に加えて、これまで、そしてこれからの施策やその実施に関わる人達の紹介等が行われました。(と言いつつ、子どもたちが大騒ぎだったり、ちょいちょい中継が切れたりで半分ぐらいしか聞けてない ?)

なんとなく感想

PDF を並行して見ながらだったのですが、正直最初はそのボリュームに「うっ」となりました。5 年、10 年、20 年という長いスパンで取り組むこととはいえ、ここまで多くの事をこんな一度に考えてしまっていいのだろうかと。
ソフトウェアのプロジェクトで考えれば、ちょっと危険な匂いがしてくるところです。

ただ、「基本方針:まちを将来世代につなぐ」は分かりやすくて、入ってきやすいメッセージだなと思いました。

「まちをつなぐ」ことは、生きていることがそうであるように、現状の維持ではな く、必要に応じみずから変わってゆくことである。
かつ、継続的な価値の積み重ねが力になるので、楽しんで取り組んでゆくことが大 切である。「べき論」で進める責務は長期的な注力が難しい。
また、これからの地域づくりに新しい人材や出産年齢の人々が必要だからといっ て、その人たちの方に身体を向けて宣伝や対応に力を注いでゆくと、観光産業が陥り がちなサービスの泥沼に入ってしまう。
その地域で暮らし働いている人たちが、日々夢中になって取り組んでいることに、 関心を持って横から覗き込みに来る人々を受け入れながら時間や経験をともにしてゆ くことで、サービスにおいて典型的な「する」「される」ではない横並びの関係を育 ててゆくことが出来る。身体を同じ方向にむけて、ともに歩いてゆくことが可能にな る。
移り住んでくる人々、還ってくる人々、暮らしつづける人々など、経験や価値観の 異なる者同士が互いに育ち合いながら、気持ち良く暮らしてゆける知恵や工夫の積み 重ねが「まちを将来世代につなぐ」ことを実現する。
神山町における創生戦略は、その実施プランとして策定される。

私には個々の施策を評価することはできませんが、トップダウンで新しいことや大きいことをするというよりは、今すでに街の誰かが始めていることや、今いる人材で実現可能なことを中心にしつつ、新しい可能性を模索するという印象で、確かに項目は多いのだけど机上の空論のようなことばかり並ぶ企画書とは全然違うなという感想です。

資料にある町長の言葉がなかなか印象的です。

本策定案にはさまざまなアイデアを記載していますが、「すべてをやり遂げる」と いう覚悟で取り組まなければ「神山の将来はない」と感じており、検討会議が始まっ た当初から「今回は実現するための計画である」と断言し、策定作業を進めてきまし た。 この神山町創生戦略で検討している最も遠い将来である 2060 年には、私の世代を含 み本策定に携わった方々も姿を消しているかもしれませんが、「まちを将来世代につ なぐ」ために、本プロジェクトを実行してまいりましょう。

フォーラムの中でも町長は「2060年は自分は居ないと思うが、達成されることを信じている」という旨の言葉を述べておられましたが、自分がいなくなった後の未来のために働くという気概は素晴らしいなと感じました。

街の新陳代謝とは

少し前の Rebuild.fm でハーレーのメーリングリストを例にコミュニティの新陳代謝の話しがされていました。その中でコミュニティが存続するには、エネルギーのある新しい人が活躍できる場作りが必要で古い人は去っていくみたいな話しがあったと思います(ちょっと記憶があやしい。。)。
私でさえ 7 年も所属していない会社で、「昔のが良かったな」と完全に美化された記憶に浸ってしまうことがあります。(おそらく昔の方がいいとかそんな事は無いのですが。)

転入してくる人々は、なぜその人生の選択を行ったのか? 以前から住んでいる人 たちは、なぜ町で暮らしその継続を望んでいるのか? 両者の願いが重なるところに 神山の将来像がある。
このまちに可能性を感じて参画してくる人々と、これまでの神山を形づくってきた 人々と、これから新たに生まれてくる人々が、現時点とは異なる割合でともに生きる 新しい地域社会に向けて歩んでゆくか、あるいはなにもせずに地域が力を失ってゆく ことを受け入れるか。
中山間部から都市部に出て行くことで、高賃金の、経済的に安定した暮らしを多く が得られたのは経済成長期の話である。いまは都市部でも中山間部でも、人生の豊か さをめぐる、あらたな指標が模索されている。
「まちをつなぐ」ことは、生きていることがそうであるように、現状の維持ではな く、必要に応じみずから変わってゆくことである。

上記も PDF からの引用ですが、今移住者の多い神山町だからこその難しさを表していると感じます。昔から住んでいる人、住んでいた人の中には「昔の神山町に戻って、友達が戻ってきほしい」と言う人も居ます。一方で昔の街を知らない移住者は今の神山町から進める未来を選択するはずです。
そこで衝突が起こる部分もあると思いますが、そもそもワーキンググループはだいぶ混合した人材で構成されていたため、このように公式の文書にこの文言が入ってきたのだろうと思います。(資料には【これまで日常的に接点や交流の少なかった、「町職員/住民等」「神山町で生まれ 育った人/余所の土地で生まれ育った人」同士が、混ざり合って進める協働作業を設計】と書かれていますね。)

神山町は今後街を維持するために、どのような新陳代謝を生み出していくんだろう。

地元で消費することはできるか

食事・食材はだいたい地元で済ませるものの、日用品・消耗品、衣類、家具となるにつれて街を出てしか買えなくなってしまいます。。それで地元にお金を落としていないと言われても困るというのもあるが、そこも課題として捉えられているようです。

地域内経済循環を健全化し、乗数効果を向上させたいが、消費活動をめぐる住 民の意識改革には時間を要する。良質な小商いが地域内に増えてゆくのにも、 ある程度の時間がかかることが予想される。

なるほど、良質な小商い。

僕や家族はここで何をするか

フォーラムの中では当然住む人達の施策への参加も促されていた。きっと多くの人が積極的に施策に関わっていくのだろうし、そういうパワーのある街だと思います。

ただ、おそらく自分たちができるのは変わらず、ここでちゃんと暮らすことなのだろうなと思っています。きちんと子育てするということも加わったかも。
都会から半分都会気分が抜け出せないまま引っ越してきた普通の家族が、まあ普通に暮らせますよというのを実践するのも一つの貢献なのかもぐらいの気分ですね。もちろん施策が形になっていけば積極的に使っていきたいという気持ちはありますし、きっと子供が関わる事案になれば関心度もぐっとあがるのだろうなと。なんか流れに身を任せてる感満載でいまいちですが。。

最後に

正直にいうと地方創生とか、その手の話しはちょっと穿った見方をしていて、何か納得できない感がありました。

そんな中で自分たちの住む街から出された創世戦略が、自分が思っていたような変なものではなく、はっきりではなくとも希望が見えるようなものであり、すごく考えられていると分かってとても良かったです。(きっと他の自治体も同じようにじっくりと考えられたものなのだと思います。)

フォーラムを主催してくださった方々や、子連れルームへの中継をしたくださった方々、ありがとうございました。